不動産仲介という仕事において、最も求められる能力とは何なのか?
その質問に対して私はいつも「調整力」と答えています。
一昔前であれば「営業力」、「情報力」が求められていたのかもしれませんし、今でもそこをストロングポイントにしている会社、営業マンはいるでしょう。
しかし時代は変化しており、数年前であれば営業マンが行なっていた物件紹介をAIが代わって行なってくれるようになってきました。
まだまだデータの蓄積が不十分で、AIによって紹介される物件は“それはないよね…” というピントのズレたものが多いようですが、今やAIがプロ棋士に勝利する時代、データの蓄積・研究さえ進めば、我々ベテラン営業マンですら情報提供の精度ではAIに勝てない、という時代もそう遠くないかもしれません。
我々不動産営業マンは不動産情報だけを扱っているのではなく、最終的にはその情報元となっている売主様、その情報として流通している物件を購入しようとしている買主様の感情を動かしている。
それぞれの思惑がある当事者の間に入り、最終的な落とし所を見据えながら話の持っていき方をリードする、片方だけの要望を通しているだけでは話はまとまらない。
そのまとめどころの見極めという部分には、当事者それぞれの要望を吸い上げる傾聴力、法的・取引慣行等の知識、間を読むセンス…といったものが必要になってくる。
それらを総合したものが私の考える「調整力」であり、さすがにこの領域までAI技術が人間を凌駕してくる、ということは私が現役で働いている間はないであろうと願いたい…