昨日の日経新聞夕刊一面
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昨日の日経新聞夕刊の一面
「土地の相続登記 義務化」
という報道をご覧になった方も多いのではないでしょうか。
記事の要点はざっとこんな内容でした。
・登記していなければ罰金を科すことも視野に
・土地所有権の放棄を認める制度を検討
・遺産分割協議の期間を制限
(3年以内に…等)
・土地ごとに相続財産管理人を選任可能に
2016年の民間研究会による推計によると、所有者不明の土地は九州よりも広い410万ヘクタールにのぼり、2040年には約720万ヘクタールにまで広がる見込みとなっています。
ここで何かしらの制度変更を行うことにより所有者不明土地の増加を抑制しようとするのは分かります。
今回法制審議会で議論される対策の内容は
“これから所有者不明土地を増やさないための対策”
であり、現時点で存在する410万ヘクタールもの所有者不明土地の問題解決には何もつながりません。
なぜ相続登記が行われないままの土地がこれだけ多くあるのか?
それは “相続登記がしたくてもできない” からです。
このブログでも私の実家の相続登記の件を何度か触れていますが、私の実家も曽祖父(ひいおじいさん)の名義のままだった実家の土地建物を約100年の時を経て私の父の名義に相続登記しました。
3代に渡る相続登記で、遺産分割協議書に署名押印いただく必要があった相続人は計20人、この人数でもまだ少なかったくらいです。
私の知人には土地所有者の名義が慶応〇年(明治の前の元号)に登記されたまま、という地主さんもいます。
160年近く前の話ですので、4~5代くらいからのご先祖様の相続人をずっと戸籍で追っていき、現時点での相続人を特定し、その全員から遺産分割協議書を取得出来なければ、現登記法では相続登記が出来ません。
私の知人も “50人くらいまでは相続人を追っていったが、行方不明者がいた時点で諦めた” そうです。
私は実家の相続登記を完了させる前までは
“現世代の相続人間で遺産分割協議がまとまれば相続登記ができるように法改正されないか”
と考えておりました。
「義務化」とか「罰則」といったムチだけでなく、「要件緩和」といったアメの部分がないと、この問題は改善する方向に進むことはないはずです。