底地と借地


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本日は物件下見のため観光のお客さんがごった返す「押上」駅へ。

駅前にある商業施設「東京ソラマチ」の入り口前では、ゴスペルグループがクリスマスソングを披露するイベントが行われており、仕事を忘れてちょっぴり聞き入り、すっかり年末ムードのにぎやかさでした。

そんなにぎやかな駅前から歩くこと6~7分というところにある2物件の現地確認が本日の目的。
しかも両物件とも間口の広い整形地で30坪前後、それでいて価格は3,000万円前後!!

なぜそんな価格なのか、というと…

1件は底地権の売却、もう1件は借地権の売却でした。

念のため…

「底地権」とは… 所有する土地に建物の所有や利用を目的とする借地権や地上権が設定されていること。

「借地権」とは… 建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう。

つまり “表裏一体” の権利であり、
・土地所有者が借地権を買い取る
・借地人が底地権を買い取る
・底地権と借地権付建物を同一の第三者に譲渡する
上記により完全な所有権となり得ます。

商談中ですので、物件情報を特定するような写真は掲載できないですが…

借地権の物件の方は、直近で境界立会をしたのか、真新しいコンクリート杭が設置されていました。

ちなみに物件の前面道路からの景色がこれ

一般的に借地権の価格は路線価図に記載のある「借地権割合」によるものとされています。
例えば、路線価が「300D」となっていたとすると、前面道路の路線価は1平米あたり30万円、そのうち借地権の占める割合はD:60%、30万円の60%で18万円ということになります。

都心一等地の商業地であれば借地権割合はA:90%、地方圏の住宅地域であれば借地権割合G:30%…といった感じで、土地の利用価値の高さによって借地権割合も決められています。

土地の価格を路線価ベースで見た場合、100平米の土地で借地権割合60%であれば、
 所有権価格:30万円×100平米=3,000万円
 借地権価格:3,000万円×60%=1,800万円
となりますが、実際に第三者に対して借地権の譲渡が行われる場合には、その取引に対して土地所有者の承諾が必要になり譲渡承諾料が発生しますので、イメージとしては “借地権割合60%だと、底地・借地の価格はほぼトントン” というところでしょうか。

不動産の仕事を長くやっていますと、多くの底地・借地の問題に接しますし、問題がこんがらがっているケースが本当に多くあります。

借地人が自己の所有する建物の登記することで土地所有者に対抗できるようになった「建物保護に関する法律」が制定されたのが明治42年、
借地人の法的地位を安定させる目的で借地法・借家法(いわゆる「旧法」)が成立したのが大正10年、
長い歴史の中で借地人の権利が築き上げられて来たわけですが、現在でも借地・借家の問題でトラブルが多く発生する原因となっているのは、軍国主義の時代に出征兵士の帰還後の暮らしを守るため、借地契約の更新拒絶を殆ど不可能にした昭和16年の「正当事由制度」導入にあると言われています。

一度土地を貸してしまえば、他の用途に変更することもできず、賃料を上げることもできなくなり、何もできないまま長い期間が経過し、現在受け取っている地代だけでは “固定資産税も払えない” という地主さんも多く見てきました。

前述のような売り物件も、土地所有者さん、借地人さんに相続が発生し、当事者間では問題が解決できないので自己の権利だけを売却する、という手段を選択されているものと思います。

不動産コンサルタントとして、この問題のある物件をいかに利益を生む物件に変えることができるか、腕の見せ所です

なお、物件下見の際には、いつものルーティーンで神社参拝へ

物件の近所にあった牛島神社、

神社の敷地に隣接する隅田公園の銀杏のなんときれいなこと…

物件化できるよう、本日も神頼みしました(笑)

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