実家を売却するタイミングで適用になる税金の特例は大きく異る


売却依頼をいただいた一戸建ての室内

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昨日、売却のご依頼を頂きました千葉県某所にある一戸建ての室内確認を行って参りました。

こちらの一戸建ては建築から約30年ほど経過しておりますが、超大手ハウスメーカーさんで施工した注文住宅ですので、ある程度のリフォームは必要ですが、十分新たな所有者様にお住まいいただける立派な建物です。

こちらの建物には以前、老夫婦お二人でお住いでしたが、奥様が先にお亡くなりになり、その後直ぐにご主人も体調を崩されて入院、その後ご自宅に戻られることなくお亡くなりになった、とのことでした。

現在は相続をされたお子様が売主となり、売却を進めていくという状況なのですが…

このようなご事情でのご実家の売却というケースは近年特に増加傾向にあります。

居住用の不動産を売却する場合には、いくつかの譲渡所得税の特別控除の特例がありますが、今回のようなケースで適用可能な特例は?というと…

居住用財産を譲渡した場合の特例で代表的なものは
「3,000万円の特別控除の特例」になるでしょう。
ざっくり言うと、居住の用に供していた一戸建て、マンション等であれば、売却をした際に利益が出ても最高3,000万円までは譲渡所得(利益)から控除できますよ、という特例で、面積要件や築年数、売却時期、一戸建てorマンション等の建物の種類も問われない…等、非常に使い勝手の良い特例です。

余程昔に都心の一等地で購入した土地建物でなければ、そうそう利益が3,000万円を超えることも少く、多くの方がこの特例を利用すれば譲渡所得税が課せられないとなるのですが…

今回のご相談のケースですと、ご主人様がご存命の間に自宅を売却されていればこの特例が適用できたハズですが、相続が発生した現段階では特例の適用はできません。

空き家の増加が社会問題にもなっている昨今、空き家の流通を促すため、
「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」が創設されました。

こちらの特例も譲渡益に3,000万円の特別控除を適用できる、という内容なのですが、前述の居住用財産の3,000万円特別控除と比較して、適用要件が結構ハードルの高いものになっています。
【適用要件】
・昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有のマンションはダメ)
・譲渡のときに建物が一定の耐震基準を満たすこと(耐震基準を満たさない場合は耐震リフォームが必要)
・土地での譲渡の場合は建物を取り壊していること(取り壊し費用が別に発生)
・平成28年4月1日から平成31年3月31日までの間での譲渡であること

上記を満たさないと特例は適用になりません。

先に上げた事例のケースですと、そもそも築年数の要件が当てはまりません。
(今年の時点で築36年超の建物でないとダメ、となります。)

また、よく問題になるのですが、被相続人が相続開始直前に老人ホーム等に入居していて自宅には住んでいなかった、となるとこの特例は適用の対象外となります。

様々なご事情や思い入れもあり、なかなか実家を売却するという判断は難しい部分もありますが、売却をした際に特例を利用できるか出来ないかでは、売却後に手元に残る現金が大きく変わって参りますので、“今後、利用する見込みがない” となった不動産は出来得る限り早い段階で売却するのが今の人口減少社会での鉄則ではないか、と私は考えます。

昔の土地神話の生きていた頃の時代であれば、利用しない不動産を持ち続けていても含み益が増えていくので持っておいたほうがいい、となっていましたが、現在では持っていれば持っているだけ資産が減価していきます。

また、利用しなくなった建物は本当に傷みが早くなります。
昨日確認に行った建物も2年近く空き家の状態が続いており、次の所有者様に建物利用の目的で購入いただくとなると、おそらく多額のリフォーム費用が発生するでしょう。

後から言うのは簡単ですが、この土地建物を最も良い条件で売却できたタイミングは、まだご主人様がお一人でお住まいであった、建物のコンディションも良いときに売却し、居住用財産の3,000万円特別控除の適用を受けられる、という時期であったことは間違いありません。

とはいえ、このタイミングを見極めることが難しいのも事実です。

同じような問題を多くの方が抱えていると思いますし、団塊ジュニア世代である私も全く同じ問題に今後5年以内には直面するでしょう。
不動産の専門家である私も、いざ自分の親には “実家を売れ” とは言い辛い部分も正直ありますが、少しずつ話しをしているところです。

多くの方が抱える問題であると考え、次回開催するセミナーでは、まさに上記のような内容をもっと肉付けしてお話するつもりです。

10月21日(土)13:30~ シー・エフ・ネッツ東京本社にて
「人口減少時代の不動産戦略」~“実家をどうする?” ライフプランに合せたリスクヘッジ策~

上記内容でセミナーを行いますので、ご都合の付く方は是非ご参加ください。

最後はおもいっきり宣伝になってしまった(笑)

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