来週契約予定のマンションの物件調査資料
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不動産売買を行う場合、契約前に買主様に対して宅地建物取引士が重要事項説明を行う必要があります。
重要事項説明書の作成も基本的には担当コンサルタントが行い、作成のためには役所等各所で様々な調査が必要になります。
・役所の都市計画課で用途地域や法令に関する調査
・建築課で既存建物の建築過程の審査状況記録や証明書の取得
・上水道、下水道、ガス等のライフラインの調査
・道路幅員、建築基準法上の道路種別の調査
・法務局で登記事項証明書、公図等の取得
上記のような内容が一般的なものです。
不動産は物件それぞれで個別性の高い商品ですので、物件によって調査内容が複雑になるところも異なりますが、とくに調査能力が問われるのは「道路」についてかと思います。
冒頭の写真の左側2枚は「道路台帳」という書類です。
国道、都・県道、区道…等、道路の道路管理者がそれぞれ国、都・県、区とことなりますが、それぞれに道路幅員を記録した書面を取得することができます。
今回の物件でも、都道と区道に接道していましたので、区の道路課と都の建設事務所へそれぞれ調査に行きました。
区の道路課で道路台帳を取得した際に、対象不動産の接道道路のうちの一つが幅員3mしかありませんでした。
一般的には建物を建てる場合には幅員4mの道路に接道する必要があり、幅員が4mに満たない場合には道路中心線から2mの道路状空地を設けなければならない(セットバック)となりますが、今回の道路は幅員3mですがセットバックの必要がない道路とのことした。
建築基準法第42条3項道路と呼ばれ、建築基準法が施工される前からある建物が建ち並んでいる幅員4m未満の道路で、特定行政庁が指定したものは幅員2.7m~4m未満でも建築基準法上の道路とみなされるとのことで、今回の道路の指定幅員は3mのためセットバックの必要がありません。
その他、法務局で登記事項証明書等を取得した際に窓口の職員さんから
「ここの土地は測量図の法務局備え付けがありません。」との回答でした。
普通の営業マンの調査ならここで終了なのですが、私の場合はここから更に別の資料がないかを調査します。
今回の物件は碁盤の目のように綺麗に区画の整った土地です。
このような場合、大方は土地区画整理事業で整備された土地になりますが、その際には区画整理の換地確定図を道路管理者のところで確認することができます。
都の場合には建設事務所で、横浜市はネットでも図面の取得が可能です。
古い換地図を見ると、横書きの文字が右から書いてあったり、メートル表記ではなく尺表記?だったりとその土地の歴史を感じる資料が出てきてなかなかおもしろいです。
それ意外でも、その土地は昔はどのような利用をされていたのか?という「地歴」を調べるために、国会図書館・県立図書館等で何十年も前の古地図の写しを撮ったり、都・県庁で保存している航空写真を取得したりもします。
“昔工場があった” となると土壌汚染リスクが発生しますので、そのリスクが有るか無しか、を調べるためです。
私、古い地図を見るのも大好きです。
しっかりとした調査をして漏れのない重要事項調査報告書を作成し買主様にご説明する、それが我々仲介者に求められる重要な役割であり、お客様の取引への安心につながるものだと考えます。