以前よりお伝えしておりますが、私は2006年から2016年までの10年間、不動産売買仲介をメインで行う会社を一人細々と営んでおりました。
丸10年を向かえた年に会社を清算することとなりましたが、世の中たくさんの会社が生まれては消えていくなか、私のようにキッチリと会社の清算登記まで完了させているという会社は実は少数派なのです。
多くの会社は、会社解散→清算→清算登記完了というところまで進めることなく、「会社を休眠させる」という形を取っています。
なぜか… というと、それだけ会社を清算するという手続きが大変だからです。
私も会社を清算しようと考えたとき、まず顧問税理士のところへ相談へ行きました。
そこで税理士から言われた一言を今でも鮮明に覚えています。
「中石さん、会社を清算するのって会社を創るのの3倍大変だよ。
『会社設立と会社解散』は『結婚と離婚』の関係に似ています。」
それを言われた時には正直そこまでピンと来ておらず、“ふ〜ん、そんなもんなんだ” 程度に考えていましたが、実際に自分で解散→清算登記の手続きを行ってみて実感しました。
結婚も離婚もしたことはありませんが(笑)
まず清算を行うとなると、解散登記を申請し、清算人を選定しなければなりません。私の場合は申請書の作成、申請から代表清算人まで全部自分自身で行いました。(印紙代だけで4万円くらい)
また、この手続きを開始した時点で新規のお客様からのお問い合わせは全てお断りして行かざるを得なくなります。
数ヶ月手続きに期間が掛かるにもかかわらず、その間の新規売り上げはゼロ、ある程度資金的に体力が残っている状況でないと会社清算なんて出来ないのです。(法的整理であればまた別なのでしょうが…)
そして解散の日から2ヶ月以内に解散公告を官報に掲載し(これにも4万円くらい掛かる)、この掲載の日から2ヶ月が経過しないことには清算の手続きに移れません。
債権者がいるという前提で、“この会社は清算しますので、債権のある方は2ヶ月以内に申し出てください” という期間を設けなくてはいけない、ということなのです。
無借金の私には全くもって無駄な期間と手続きでしたが、そうしないことには会社が清算できませんので仕方ありません。
その間にも会社の残余財産をどう処理していくか、ということを税理士と打ち合わせなければなりません。
(本当に顧問税理士の先生にはお世話になりました。)
そして解散公告を官報に掲載してからようやく2ヶ月が経過したところで、晴れて清算登記を申請することができます。
ここまで手続きを進めるのに、気が遠くなるような作業を行いました。
ここでお話ししているのは、あくまでも会社登記の清算のことだけですので、これ以外にも宅地建物取引業免許の廃業届け、事務所の賃貸契約解除、電話・ファックス・各種利用サービスの解除、キャビネット2個分の重要書類の処分(ダンボールごと溶かすサービスを利用)…等々、やるべきことはてんこ盛りで会社最盛期よりも忙しいんじゃないのか?というくらいです。
清算登記の申請を終えた時には真っ白な灰のようになっていました。
なお、廃業の手続きをした際、宅建免許申請のときに保証協会に預託していた保証金60万円がすぐに返ってくるのかと思っていたら、なんと申請から返金まで9ヶ月も掛かる、しかも訳の分からん負担金とこちらも公告費用で計4万円強が差し引かれての返金、会社清算は本当に精神修行です。