「底地」と「借地権付建物」の同時売却


私が住んでいる横浜市西区楠町周辺の路線価図

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前回のブログからの続きの内容になります。

借りている土地の上に賃借人が建物を所有することにより生まれる「借地権」という権利ですが、借地権者ご自身でもあまりご存じない方もいらっしゃいますが、実は財産権として非常に強い権利が主張できます。

冒頭の画像は「路線価図」というもので、国税庁が毎年発表している土地の評価基準となるものです。
その道路(路線)に面する土地の1平方メートルあたりの価格がいくらになるのかを示すものであり、相続税等の算定基準となる評価額とされています。
(国交省が発表する「公示地価」の概ね8割程度に調整されています。)

道路に200Dと書いてある場合、200の部分は千円単位で表記されていますので「その道路に面している土地は、1平方メートルあたり20万円の評価」ということになります。
単純な整形地で100平方メートルの広さの土地の場合、20万円/㎡ × 100㎡ = 2,000万円の路線価評価となります。

借地権でポイントなのは200の後ろのDの部分です。
冒頭に掲載している路線価図の上段真ん中辺りにA~Gと書かれた表があり、その右側部分に「借地権割合」と書かれているのがご覧になれると思います。
この「借地権割合」とは、路線価評価のうち借地権の権利に対する対価はいくらぐらいの割合になるか、を示しています。
前述の路線価20万円/㎡、100㎡、2,000万円の路線価評価の土地の場合、2,000万円×60%=1,200万円が借地権に対しての評価ということです。

この借地権割合は都会の商業地が一番借地権割合が高く(最高90%)、地方エリア、住居系のエリア…等になるに従い借地権割合が低くなっていきます。
(あくまでも建物を利用することにより生まれる利益が評価基準となるためです。)

実際には借地権を第三者に譲渡する場合には、その借地権の設定されている土地の所有権(これを「底地」といいます。)を持つ地主さんから譲渡承諾を得る必要があり、そのために承諾料が必要となりますので、一般的に借地権割合60%の土地であれば取引上では丁度半分半分くらいの割合になるケースが一般的です。

建物が老朽化して手直しも出来ないままそこに住み続けるという選択しかできない借地人のAさん、
安い地代で土地を貸し続けて固定資産税の負担に苦しみ、相続が発生する前に何とか底地を整理したいと考えている地主のBさん、
この2人が単独で第三者に自分が保有する権利を売却しようとしても、殆ど市場性の無い権利となりますので条件の良い価格は付きません。
底地権のみを専門で買い取る不動産業者さんも存在しますが、買取価格は所有権価格の1割り程度となるのが相場です。

借地人のAさん、底地権者のBさんの利害が一致し、第三者のCさんにそれぞれの権利を同時に売却した場合、cさんは土地の所有権と借地権付きの建物、つまり完全な所有権を取得出来ることになります。
それぞれ単独では市場性が無く1と1だったものが、同時売却により市場性が生まれ10になる、実際に何度もこのような取引を私も経験しています。

ただし、Aさん、Bさんの事情やタイミングがピッタリと一致することはなかなか難しく、仮に一致していたとしても双方の話をつなぎ、お互いwin-winとなる結論に導くには専門家の介在が必須です。

借地人のAさんに対しては売却後のお住いのご提案(売却資金で中古マンション等をご購入いただく場合が多いです。)、底地権者のBさんに対しては売却を行うための土地の分筆の手配等、ケースbyケースですが並行して進めなければならないことも多く、そのコンダクターとしての役割を担うのが我々不動産コンサルタントとなります。

不動産コンサルタントには地域特性把握、調整力、粘り強さ、倫理観…等、多くのものが必要となります。

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