他の物件確認の際、前を通りかかった新築マンションの完成現場
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本日、ご自宅購入のご相談を受けているお客様にご紹介している東西線「東陽町」駅徒歩10分、江東区役所にも程近い中古マンションの事前現地確認へ行って参りました。
不動産を扱う上で、やはり現地に行かなければ分からないことはたくさんあります。
Googleマップ上で見るよりも駅からのアクセス、駅前の利便性、物件周辺の開発状況等も盛んで、自信を持っておすすめできる物件でした。
その物件から2~3分のところに、冒頭の写真の新築マンションが竣工したばかりで、建物内モデルルーム見学会を開催していました。
中見たかったけど、完全予約制で見学できず…
職業病と言うか… 私はマンション建設現場に設置されているチラシや、その他の中高層建物の建設現場のお知らせ看板を必ず見るようにしています。
新築マンションのチラシを見ての私の第一声
「わぁっ、、高!」
チラシに掲載のあるお部屋の価格帯はちょうど1平米あたり100万円前後といったところ…
(坪単価だと@330万円/坪前後)
57平米:5,700万円、83平米:8,300万円といった数字が並んでいました。
上記のチラシに並んでいるのは1階住戸の価格ですので、上層階になると1割~1.5割くらいは高くなります。
(新築マンションの価格設定の場合、1階上がるごとに戸当たり100万円前後くらい高くなります。)
1階の57平米強の2LDKが約5,700万円の売出価格、
私がお客様にご紹介している中古物件は、ほぼ同じ広さの57平米強の2LDKで4階住戸、立地は新築物件に比べて2~3分駅から離れますが、築15年で売出価格は3,280万円(平米単価で@57.38万円、坪単価だと@189.69万円)
価格差は何と2,500万円弱…
確かに日本人にはまだ新築志向が根強いところもありますし、こちらの新築物件は某財閥系デベロッパーの開発した総戸数100戸超の大規模物件ですので、それなりに魅力はありますが、それにしてもこの価格差に見合う不動産価値が果たして新築物件にあるのか…
正直なところ、私個人的には「ない」と考えています。
現在、販売されている(これから1年以内に販売されるものを含め)新築マンションは、とにかく用地を高値で仕入れています。
それに加え、RC建物の建築費も現場の多さや職人不足から高騰しているため、新築物件の価格はこれだけ高くなっている訳ですが、あまり高すぎても買い手がついて来れませんので、どこかしらで原価圧縮し、分譲価格を一般ユーザーの手の届くところに抑える必要があります。
デベロッパーも土地が買えなければ商売になりませんので、土地値の圧縮はなかなかできず…
利益も上げなければ商売になりませんので、必然的に建物の建築費で原価圧縮していくことになります。
冒頭の写真では分かりずらいかもしれませんが、
・建物の目立つ外観部分にはタイルを貼っているが、バルコニー内側躯体の壁や外廊下壁は吹き付け塗装になっていたり…
・外階段の壁の一部がコンクリ躯体ではなく鉄柵になっていたり…
・一昔前の財閥系デベのマンションならバルコニー、室外機置場、出窓になっていた角部屋の開口部が単純な窓の設置だけになっていたり…
とくに完成したマンションを冒頭写真のような位置から見ると、一昔前のマンションから比べての建物の原価圧縮っぷりが良く分かります。
モデルルーム販売では分かりずらい点ですが、実際に出来上がると否が応でも分かります。
分譲価格が高くなりすぎているため、これだけの立地で財閥系デベが分譲するマンションでも、建物完成までに全住戸完売させるのは至難の業ですが、完成後に実物を見て、となると更に売りづらくなります。
現在の新築マンション市況では、それでもビクともしない財閥系、電鉄系等でないとマンション分譲が出来ない状況であるとも言えます。
では、価格差が大きくある中古物件は、新築に比べて商品力が劣るのか、というと…
これはやはり不動産ですので、物件による個別差が大きくありますが、建築費が高騰する前の平成15~18年、リーマンショック後の平成21~24年くらいに竣工している物件の方が、建物仕様が良く、室内の設備も今の新築とそれほど大きく見劣りしない…という物件もチラホラあります。
そこを見定めて、物件を選別し、お客様に情報提供するのが、長年この世界に身を置く我々不動産コンサルタントの役目かと思います。
普段は投資案件のご相談の方が多くありますが、ご自身でお住まいになる、もしくはご親族等のご自宅ご購入、ご売却も是非お声掛けください。